エンベロープウイルスの構造

ウイルスには自己増殖能はなく、宿主の細胞に付着し入り込むことによってのみ増殖することが可能です。そのため、ウイルスは生物には分類されません。大きさは20~250nmとかなり小さく、電子顕微鏡でしか見ることができません。

ウイルスの構造

感染の仕方

ウイルスの表面にあるスパイク(注射器の役割)が、ヒトの上皮細胞表面にあるACE2受容体に結合することでウイルスが細胞内に侵入し感染します。侵入したウイルスは増殖・放出されていき、ヒトの体内で感染部位が広がっていきます。

ウイルス感染の仕組み1
ウイルス感染の仕組み2
ウイルス感染の仕組み3

コロナウイルス・インフルエンザウイルスのようにエンベロープがあるウイルスでは、エンベロープ内のタンパク質がスパイク(注射器の役割)を経由して、エンベロープ内部に包まれていたウイルスの遺伝子やタンパク質を細胞内に送り込む仕組みのものが多くなっています。

ヒトに感染性をもつ
主なエンベロープウイルス

RNAウイルス オルトミクソウイルス科 インフルエンザウイルスなど
コロナウイルス科 新型コロナウイルス、SARS-CoV-2、MERSコロナウイルスなど
フラビウイルス科 C型肝炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、ジカウイルスなど
トガウイルス科 風疹ウイルスなど
パラミクソウイルス科 麻疹ウイルス、ヒトRSウイルスなど
ラブドウイルス科 狂犬病ウイルスなど
ブミヤウイルス科 クリミア・コンゴ出血熱ウイルスなど
フィロウイルス科 エボラウイルス、マールブルグウイルスなど
ブミヤウイルス科 クリミア・コンゴ出血熱ウイルスなど
未分類 D型肝炎ウイルス
ブミヤウイルス科 クリミア・コンゴ出血熱ウイルスなど
DNAウイルス ヘルぺスウイルス科 水痘・帯状疱疹ウイルスなど
ポックスウイルス科 天然痘ウイルスなど
ヘパドナウイルス科 B型肝炎ウイルスなど
レトロウイルス レトロウイルス科 ヒト免疫不全ウイルス、成人T細胞白血病ウイルスなど